【特徴】鎬造、庵棟、身幅広く、重ね尋常、元先にさほど幅差つかず、反りややつき、中切先延びる姿。

彫物は、表裏に二筋樋を掻き流す。

生茎、鑢目大筋違、先栗尻、目釘孔一。

地鉄は、板目肌練れ、地沸つく。

刃文は、湾れに互の目や丁子、尖りごころの刃を交え、足・葉入り、小沸つき、砂流しかかる。

帽子は、乱れ込み先尖って返る。

【見どころ】二十五代藤原兼房刀匠は、本名を加藤賀津雄といい、1957年岐阜関市の二十四代藤原兼房の次男として誕生しました。1975年人間国宝の月山貞一に入門し、1982年作刀承認を受け同年アメリカのボストンで開催された人間国宝展では月山師に随行し参加しました。1983年、父二十四代兼房に師事し翌1984年に日本刀鍛錬道場を開設、二十五代藤原兼房を襲名しました。国内の展覧会で高い評価を得、ロシアのモスクワやサンクトペテルブルグで日本刀を紹介したり、ドイツのケルンやミュンヘンで日本刀鍛錬を実演するなど海外での活動も精力的に行い、ヨルダン国王へ七振りの刀を納めました。明治神宮や熱田神宮への奉納、大相撲で横綱の太刀製作、四条司家の宝刀製作など多彩な活動が知られる現代刀匠です。本作は、二尺六寸と長寸で表裏に二筋樋を掻き、中切先延びる刀姿で、板目肌よく練れて地沸つき、匂深く小沸よくつく湾乱れ刃文を焼いた堂々たる一振りです。

【状態】横手下に薄く鞘擦れ跡があります。